川端、山田、畠山。史上初の「バラバラ三冠王」を達成した3人の思い

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ここで3人の今シーズンを振り返ってみたい。

 プロ15年目にして初のタイトルを獲得した畠山は、バッティングについていつも深く考え込んでいた。バッティング練習では「バットの出方が悪いのかな......」「ヘッドスピードが遅いな......」など、首をかしげながらバットを振っていた姿が印象に残っている。

「今年は納得できた打席が少なかったですね。バランスが良くなかった。ホームランを打っても『なんで打てたんだろう』という感じの打席が多かった。ライナーやセンター返しを意識していたのですが、それがうまくいかなかった。といっても、バランスばかり意識して、相手との勝負に入っていけないようだとプロの選手としてよくない。自分の状態やバランスが悪いことを理解した上でピッチャーと勝負していく。そこを意識してやってきました。でも、練習では少しでもバランスが良くなるようにやっていました。そこでの葛藤というか、やり方が難しかったですね」(畠山)

 今年は「打点王を獲ってみたい」と発言し、それを実現したのだが、畠山の胸中は複雑だった。

「打点の数だけ走者を返したということなんでしょうけど、得点圏打率は去年の方が高かったですからね(昨年は.402で今年は.288)。山田や川端、さらに1番の比屋根(渉)らがそれだけの機会を与えてくれたということで、僕の実力で獲れたとは思っていません。そこは打率にも現れていて、昨年が.310で今年が.268。やはりバランスが悪いということなんです。バランスが悪いからこそ、引っ張りにかかってホームランが出る。それは僕の目指しているところではないんです。結果的にチームの勝ちにつながっているので、それはそれでいいのですが、得点圏でホームランではなくヒットがほしい場面で自分の狙った打球が打てなかった。だから、納得できていない部分が大きかった」

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