補強選手からドラフト候補へ。教習所教官・信楽晃史の指名はあるか? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 ソフトバンクのリリーフとしてリーグ優勝に貢献した森唯斗(ゆいと)も、かつて補強選手で輝いたひとり。徳島・海部高から岡山にある三菱自動車倉敷オーシャンズに進んだ森。三菱自動車倉敷オーシャンズとは、元は「三菱自動車水島」という名の強豪企業チームだったが、今はクラブチーム登録。

 森が在籍した4年間で都市対抗に出場することはかなわなかった。それでも、4年目の2013年に中国予選での獅子奮迅の活躍が評価され、出場する伯和(はくわ)ビクトリーズ(広島)の補強選手に選ばれた。

 本戦では初戦に3番手として登板して、2回無失点の好投。リリーフ適性の高さを見せた。頑丈な体とハートの強さはすでに高い評価を受けており、森は同年ドラフトでソフトバンクからの2位指名を勝ち取る。

 そもそも、森がプロを意識するきっかけになったのも、「補強選手」が絡んでいた。森が社会人2年目だった2011年、チームの先輩サイドスロー・田原誠次が伯和ビクトリーズに補強され、都市対抗で好投したのだ。まったく無名の存在だった田原は全国の大舞台で見出され、同年ドラフトで巨人から7位指名を受ける。その田原が抜けたことで自覚が芽生え、森の急成長につながったのだった。田原はプロ入り後、独特の存在感を発揮してリリーフとして貴重な戦力になっている。

 また、2011年の都市対抗では、もうひとりの「彗星」が現れた。それは、JR九州(福岡)の補強選手になった右腕・一岡竜司。一岡が所属していたのは、福岡にある沖データコンピュータ教育学院。午前中はコンピュータやビジネスについて学び、午後は野球の練習をするという専門学生だったのだ。

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