14年ぶり優勝。ヤクルトの選手たちを動かした「真中イズム」 (6ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その石川はライト前にタイムリーを放ち、先取点という最高の結果をもたらした。

 直後の5回裏は、逆に一死二、三塁というピンチを迎えた。ここで代打・井端弘和が痛烈な打球をライト線へ放つも、あらかじめ自らの判断で右寄りに詰めていた雄平が好捕。犠牲フライとなり1点は失うものの、このピンチを最少失点で切り抜けたヤクルトが1点差を守り切ったのである。

雄平(写真右)のサヨナラ安打で14年ぶりの優勝を決めたヤクルト雄平(写真右)のサヨナラ安打で14年ぶりの優勝を決めたヤクルト

 そして10月2日の阪神戦。この試合でもヤクルトは粘り切って、勝ちをつかんだ。まさに今シーズンのヤクルトを象徴する戦いだった。真中監督は秋の夜空に7回舞い、ブルペンの前ではゲーム中盤以降を支え続けた投手陣が肩を組んで、満面の笑みで写真におさまった。セレブレーションはいつ見ても素敵なものである。

「ウチらはチャレンジャーなんだから、思い切って戦おう」

 真中監督がシーズン終盤に何度も口にした言葉である。ヤクルトは「セ・リーグチャンピオン」という肩書きで、CSファイナルステージを迎えることになったが、「チャレンジャー」の姿勢は変わらないはずだ。シーズンと同じ戦いをやり切ることができれば、その先には日本シリーズが待っている。

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