85年V戦士が語る「30年ぶり日本一へ、今の阪神に必要なこと」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 福間氏自身、1982年から63試合、69試合、77試合と登板を重ね、85年も58試合に投げた。日本一のシーズンを振り返り、自身も含めて投手陣のコンディションはどうだったのか。

「あの年はね、攻撃陣ばかり言われるけど、後半戦のチーム防御率はたしか阪神がリーグ1位か2位でした。でも、それは打撃陣が育ててくれたんです。試合序盤で2、3点取られても、打線が取り返してくれるだろうという気持ちの余裕がありました。それがシーズン後半戦の余力にもなった。投打の信頼関係があったし、そこは今と違うところでしょうね」

 残り試合もわずかとなってきたが、チームとしてここから何をすべきだろうか。

「まずは選手ひとりひとりがしっかり自分の役割を果たすこと。85年はバースや掛布を筆頭に強力打線の印象が強いけど、実は弘田澄男さん、平田勝男、北村照文など......あのチームはとにかくバントがうまかった。たしか、シーズン最多犠打の記録をつくったはずですよ(141犠打は当時のセ・リーグ新記録)。しっかりチャンスをお膳立てして、クリーンアップがランナーを還した。その点、今年はバントミスが多い。やはり、各自がやることをやらないと結果もついてきません」

 さらに話は続き、ベンチにいる選手にも及んだ。

「たまにベンチがテレビで映し出されますけど、元気がない。この時期に優勝争いしているのに、盛り上がりを感じない。僕らの時は、打たれてベンチに戻ってガックリしていたら川藤(幸三)さんに『お前に今できることは声を出すことやろ!』って怒られてね(笑)。川藤さんをはじめ、平田や木戸克彦、それに外国人も明るかったし、元気のいい選手がいっぱいいました。ここまで来て、何が結果を分けるかといえば、『優勝したい』という気持ちの強さ。ベンチが盛り上げて、選手たちの気持ちを出してやることも大事なことです」

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