2015.09.02

【根本陸夫伝】
主力を放出してまで田淵幸一の獲得にこだわった男

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

山崎裕之
<打の柱が田淵なら、投の軸が東尾、あとは内野にキーマンが必要です。守れて打てる山崎君は、その役にピタリでした。オリオンズに在籍して14年、キャリアは十分です。

 派手ではないけれど、野球の職人です。放っといても自分で自分をつくるタイプです。新しい環境が水に合えば、最盛期のレベルに復活してくれると期待しています。5年待てば、新しく入れた若手が育ちます。その間、西武の力となり、若手の見本となってくれればと思いました>

野村克也
<テスト生として球界に入った男です。翌年はずっと二軍暮らし。3年目に一軍にはい上がって、キャッチャーという故障の多いポジションにいながら、あの活躍です。8年間、監督もやりました。そこまで行った男が、また一選手にもどって、“ボロボロになるまでやりたい”という。

 かつて日本の野球史に、これほど徹底して野球に取り組んだ男がいたでしょうか。自分が出した結果の前で、あれほど素直になれた選手がいたでしょうか。

 西武は新しく生まれたばかりのチームです。プロ野球の何たるかを知らない新人を、どんどん獲得しなくちゃいけない。そんなとき、野村君が何も言わなくてもいい。新しい人たちと同居し、行動をともにしてくれるだけでいいんです。

 若い子たちの、おのおのの感受性が野村君から何か学び取ってくれればいい。だから、野村君のいるうちに、もっともっと多く若手を獲りたい。それが僕の本音です>

 この4選手の評価と獲得理由を語ることが、そのまま新生ライオンズのチーム作りを表しているかのようである。とりわけ、田淵に関しては、どうしても西武に必要な存在だったことが伝わってくる。