2015.09.02

【根本陸夫伝】
主力を放出してまで田淵幸一の獲得にこだわった男

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

田淵幸一
<勝てるチームをつくる。そのためには、投打の両面で、柱となり軸となる選手がいなくてはなりません。投のほうには、東尾修がいました。打つほうで、他の5球団を圧倒する選手が欲しい。それが田淵幸一でした。しかし、西武には、田淵が持っている打つ以上の能力が欲しかった。

 西武は、所沢に来て新しくスタートしました。ライオンズとは名乗っても、前のライオンズではないんです。地方区的な人気しかなかった球団を、広く全国区的な名前のあるチームにしたい。そのためには、全国のプロ野球ファンに支持される実力ばかりか、知名度や人気の点でもずば抜けて全国区の選手が欲しかった。

 ウチのオーナーは“第一級のスポーツマンには高い品位がなくちゃいかん”というのが口癖です。私も同感ですが、その品位が田淵幸一にはあった。獲得しよう、と決めた頃、阪神が田淵を手放すかもしれないという情報が飛び込んできたのです>

古沢憲司
<16歳のとき、新居浜東高を中退して17歳でタイガースで初勝利を挙げた選手です。その阪神で15年投げつづけ、交換トレードの前、4年連続して9勝以上の実績があった。

 どちらかと言うと、集団の中から離れた一匹狼タイプですが、器の変化、環境の変化、つまり西武ライオンズという集団のなかへ入ってみれば、もっと成長するタイプかもしれない。そんな期待があったわけです>