「ソフトバンク黄金時代」を予感させた上林誠知の衝撃弾 (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 プロ1年目だった昨年は二軍でわずか9試合、打率.182の成績。主戦場は三軍だった。それが今季は大躍進。二軍でヒットを量産し、7月に規定打席に到達して以来ずっと首位打者の座をキープしている(8月27日現在の二軍成績は打率.333、8本塁打、35打点、13盗塁、長打率.522)。

 今季の飛躍について、上林は今年1月の自主トレを分岐点に上げる。オフのある日、緊張しながら携帯電話を握り、思いきって電話をかけてみた。「自主トレに僕も参加させていただけませんか」。すぐに快諾の返事をもらった。電話の相手は内川聖一である。

「内川さんは日本で最高の打者。勉強になることがたくさんあると思い、自分からお願いしました」

 練習から寝食までをともにし、「あれだけの選手でもここまで練習するのか」と驚きつつ、間近で練習を見たり、時には内川から直接アドバイスをもらったりする中で大きなヒントを得ることができた。今春のキャンプで上林の打撃を見ると、構えが少し変わっていたことに気づいた。

「僕の場合、トップを作る時に動きが『2段構え』になってしまう癖がありました。プロの速いスピードやキレに対応が遅くなってしまう。なので、トップに近い位置で構えて、そこからタイミングを取るようにしたんです」

 構えや打ち方を見ると、昨年まで日本ハムでプレーした稲葉篤紀を彷彿とさせる。

「周りからも言われるので意識はしています。動画で探して見ることもあります」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る