ヤクルトの川端、山田、畠山が挑む史上初の「バラバラ三冠王」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 だが、今回のヤクルトのように首位打者、本塁打王、打点王が同じチームでそれぞれ違う選手というのは一度もない。もし、川端、山田、畠山がこのままタイトルを獲得すれば、史上初のケースとなる。

 ヤクルトの杉村繁チーフ打撃コーチにこのことを伝えると、「まだ100打席以上残っているし、タイトルはそう簡単に獲れるものではない」と言い、こう続けた。

「チームが優勝争いしている中でしんどいだろうけど、いい経験をしていると思う。そして、3人がタイトルに絡むことでチーム内にいい競争が生まれているよね。たとえば、川端が(1試合)4安打すれば山田も打ちたいだろう。彼らが出塁すると得点圏にランナーがたまり、畠山は打点を稼ぎやすくなる。特に畠山は読みのバッターだから、足のある山田が塁上でプレッシャーをかければ配球も絞りやすくなる」

 2番・川端、3番・山田、4番・畠山と並ぶ打順は、それぞれがタイトルを獲得する上で、じつに理想的な並びのように映る。

「タイトル争いはコーチ冥利につきることだけど、結構大変なんですよ。打率であれば毎試合、選手のデータを出して『今日はどうなる。明日はどうなる』という計算が面倒くさい(笑)。さらにチーム内での争いとなると、みんな平等にしなければいけないし……。2007年に青木(宣親)ラミレスが首位打者争いをしたんだけど、最終戦までトップだった青木に『試合に出ろよ』とはなかなか言えない(笑)。でも、3人でのタイトル独占が史上初なら実現してほしいよね」(杉村コーチ)

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