米国式から日本式へ。黒田博樹が格闘している「幅」の正体 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その後も安定感のある投球を続けていた黒田だったが、次第に投球スタイルに変化が見られるようになった。

 顕著だったのが、5月29日のDeNA戦。この試合から捕手が開幕からバッテリーを組んでいた會澤翼から石原慶幸に代わってからだ。具体的にいうと、打者の手元で微妙に動くカットボールやツーシームから、フォーシームのストレートが増え、スライダーを効果的に使うようになった。要するに、横に変化の大きい球種を使うことで、"幅"を作り出したのだ。

 その試合から3連勝を飾るなど、効果は抜群だった。しかし、課題もあった。それが左打者への投球だ。対右打者の被打率.239に対し、対左打者の被打率は.286。一時は左打者の被打率が3割を超え、右打者と1割以上の差が出る時もあった。
※成績は8月6日現在

 右打者には外へ逃げるスライダーを意識させたところで内角球を投げて詰まらせ、逆に内角を意識すれば外のスライダーでかわすというピッチングを確立させた。

 しかし、左打者には逃げる球種がなく、さらに内角のボールゾーンも日本は狭い。幅を使うことができず、打者の目先を変えるのもひと苦労なのだ。

 6月23日の阪神戦では、打たれた6安打はすべて左打者だった。試合後、黒田は「いろいろ対策していかないといけない」と語ったように、左打者対策は最重要課題だった。そして、その次の登板で黒田が出した答えが"スプリット"だった。

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