セカンドの概念を覆すヤクルト山田哲人の圧倒的攻撃力 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 後半戦に突入すると、山田は9試合で打率.579、5本塁打、14打点と爆発。3番打者としてチームの7連勝に大きく貢献。山田本人は自身の状態について、いつもなら「普通です」「良くはないです」など、控えめなコメントが多いのだが、7月26日の中日戦の後は「結果も出ているので、調子はいいかなと思います」と、珍しく手応えを口にした。

 打撃に注目が集まる山田だが、今年は守備、走塁の成長にも目覚ましいものがある。現在、セカンドの守備率はリーグ1位で、盗塁もリーグトップ。山田の守備は力強く攻撃的だ。たとえば、走者一塁でセカンドゴロ。「これは二塁で刺すのは厳しいかな」と思うようなタイミングでもセカンドに強い送球をして、アウトにする場面を何度も見た。三木肇作戦兼内野守備走塁コーチは言う。

「結果的にアウトになったのではなく、打球が飛んでくる前から予測ができているので、ギリギリのタイミングとわかっていてもトライできるんです」

 三木コーチと山田は、春のキャンプで「野球脳をしっかり身につける」「ダブルプレイに強いセカンドになる」というテーマを掲げ、徹底的に練習に取り組んだ。

「なぜミスになったのか。なぜアウトにできたのか。プレイの中にある色々なことに気づいていこうという話をしました。ダブルプレイにしても、ゴロを捕ってセカンドベースに送球することもそうだし、どうすれば素早く、力強い送球ができるのか。そういう中で、本人がいろいろ考え、コツを見つけていますよね。そして、そこで得たものが枝葉のように分かれて、他のプレイにも生きてくる。今も守備についてよく話をしますが、その言葉からも成長が伝わってきます。それに並行して技術やフィジカル面も上がっています」(三木コーチ)

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