デストラーデ「野茂は人間だけど、
イチローはエイリアンだね」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

―― デストラーデさんなら、どんなコーチングを?

「大事なのはひとりひとりの個性を理解すること。コーチの方から門戸をオープンにする。そして、ひとつのスタイルにこだわらないこと。そのスタイルが合っている選手はいいけど、そうでない選手もいるだろ。だから、いろんな教え方が必要になってくるだろうね」

―― 日本で監督をしてみたい気持ちはありますか。

「チャンスがあればやってみたいね。僕は、日本の選手もメジャーの選手も理解することができるし、選手を見る目はあると思っているよ。それに、僕はカリビアン、ラティーノ、キューバ、アメリカ、日本と数多くの文化を経験している。だから、選手へのアプローチの仕方もいろいろできる。現実的に考えれば、監督になるとすれば前年度の成績がBクラスのチームだろうね。外国人を監督に招くチームは、だいたい前年度の成績が悪く、何かを変えたいと考えているチームだろ。Bクラスのチームの監督をするのは、僕にとってもチャレンジだし、何かを作り上げていくのにすごく興味があるね。日本の監督の厳しさと、メジャーの、たとえばレイズのジョー・マドン監督のようなイージーさ(寛大さ)をミックスさせるのも面白いだろうね」

 デストラーデは日本の野球文化を理解し、日本語も堪能で、メジャーリーグをはじめ、中南米の野球にも精通している。90年代の西武黄金期の中心選手だった秋山幸二、伊東勤、渡辺久信は現役引退後に監督となり、それぞれのチームを優勝に導いた。そして今年はソフトバンクの監督に就任した工藤公康もそれを実現しようとしている。その中に、デストラーデの名前が加わるのも、そう遠くないと思えるのだった。

【プロフィール】
オレステス・デストラーデ/1962年5月8日、キューバ出身。81年にヤンキースと契約し、87年にメジャーデビュー。88年5月にトレードでパイレーツに移籍。89年6月に西武に入団。83試合の出場ながら、32本塁打を放つ。90年は42本塁打、106打点で二冠王に輝く。91年も39本塁打、92打点で2年連続二冠王を獲得。92年も本塁打王を獲得するなど、3年連続日本一に貢献。93年からMLBに復帰し、2年間マーリンズでプレイ。95年に再び西武に入団するが、シーズン途中で退団。現在はフロリダを中心に野球解説者として活躍している。

◆メジャーの超大物たちが15年前に語っていた「イチローの衝撃」>>

プロ野球記事一覧>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る