球宴初出場。DeNA田中健二朗が亡き母に誓う全力投球 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

「中継ぎとして結果を出したことで、ここで勝負したいと思ったし、集中してやった方が迷いなくいける。だから今は先発をやりたいとは思わないんです。厳しい場面での登板もありますが、やりがいを感じているし、もっとチームの勝利に貢献したい」

 今シーズン、田中はここまで(7月16日現在)35試合に登板し、2勝2敗1セーブ16ホールド、防御率2.20という上々な成績を残しているが、ここ最近調子を落としており、7月13日の巨人戦では7回にリリーフとしてマウンドに上がったものの、3つのフォアボールを出したことでピンチを招き1イニング投げ切れず降板している。好調だった前半と比べると、明らかに制球が乱れている。

 考えてもみれば無理もない。田中は交流戦の時期に10日間ほど一軍登録を外れたが、それ以外はほとんどブルペンに入っている。今までこれほど長い間一軍に帯同したことはなく、コンディショニングの面で腐心しているのだという。

「体がどうなっていくかまったくわからないし、練習の強度を上げたらいいのか、またどのタイミングでやればいいのか、それもまたわからない。それに相手チームが研究している中で勝負しなければいけないし、あらゆる面で難しさを感じています。

 あとはやっぱり気持ちの面なんですよ。昔は『ここで打たれたらどうしよう……』と自信なさげに投げていたんですけど、調子が良かった今シーズン前半は、言葉は悪いですけど『打たれても知らねえよ!』ぐらいな感じで、いい意味で開き直ることができていた。だけど最近は、ボール自体は悪くないんですけど、ストライクが入らないと、昔の『どうしよう……』という気持ちが顔をのぞかせるんです。もっと強気に攻めなくちゃいけない。三浦(大輔)さんを見ていても、絶対に攻めていますからね。そういうところは見習っていかないと」

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