阪神・藤浪晋太郎、3年目の飛躍を生んだ「正しい脱力投法」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 阪神OBで2011年から3年間、投手コーチを務めた藪恵壹氏も「5月中旬あたりから、脱力投法のコツをつかんだように見えました」と話す。

「何でもかんでも全力で投げるのではなく、勝負どころでギアを上げていく。もともとそうした勝負勘を持っている投手でしたが、春先はフォームが固まらず、投げる時に腕が下がっていた。その結果、ボールに角度がなく、コントロールにバラつきがありました。今は腕の位置も上がってきて、本来の角度あるボールがいくようになりました。藤浪のように長身で角度のあるボールを投げられると、バッターはストライクゾーンの判断が難しい。だから、ボール球にも手を出してしまうんです。その投球ができるようになってから、随分と楽になったと思います」

 また、5月14日のヤクルト戦から、キャッチャーがそれまでの梅野隆太郎からベテランの鶴岡一成に代わったことも、復調したひとつの要因として挙げられる。藪氏が言う。

「たとえば、サインを出してからミットを構えるまでのタイミングですが、早すぎると相手に読まれる恐れがあり、逆に遅すぎるとピッチャーが投げにくくなる。そういう細かい気配りが、2年目の梅野はまだ完全にできていなかった。それに対して、鶴岡や藤井彰人はそうした気配りができている。そういう意味で、鶴岡と組むことで精神的に楽になった部分はあると思います」

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