今や貴重な選手の供給源。高まる独立リーグの存在価値 (6ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 NPBのある球団のスカウトは次のように語る。

「設立当初は、二軍でできるかなという選手が数人いるだけでしたが、今はドラフト上位で指名される選手もいるし、即一軍で通用する選手もいます。昔はアマチュア選手を見るついでに行っていたのですが、今では頻繁に通うようになりました。転機となったのは角中の存在だと思います。彼が一軍でプレイするだけでなく、首位打者を獲得した。そういう選手が出てくるということは、独立リーグ全体のレベルが上がっているという証拠なんです。それに近年は、NPBで一流の成績を残した選手が行くようになり、より高いレベルの野球が浸透してきたと思います。独立リーグができて10年経ちましたが、いちばん変わったのは我々の見る目です。必ずいい選手がいると、確信を持っています」

 そして角中は、独立リーグのこれからについてこう語る。

「あとに続いてきてほしいというか、正直、自分もまだまだなので、そこまで考える余裕はないんですが……今年は中日の亀沢恭平(香川オリーブガイナーズ出身)も頑張っているので、お互い高めあっていければと思っています。それに最近はNPBとの交流もありますし、少しずつ環境も良くなっていると思います。その中で独立リーグからどんどんNPBに来て活躍してほしいですね。そうなれば独立リーグの人気も上がってくると思いますし、日本全国で野球が盛り上がることになるじゃないですか」

 独立リーグの経営はどこも厳しいと聞くが、「NPBのない町で野球を見せてくれる」「野球を続けたい人の受け皿になっている」など、存在意義は大きい。それだけでなく今や独立リーグは立派なNPBへの選手の供給源となっている。様々な意味でこれからの独立リーグには注目したい。

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