メジャースカウトが語る「大谷翔平の最新評価」 (2ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kazushi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「ただし」と言って、同関係者はこう付け加えた。

 「たしかに大谷は素晴らしい打者ではあるけれども、球速のあるメジャーの投手たちを相手に、どこまで対応できるかという不安はある。こればかりは実際にやってみないとわからない問題だ。日本の投手というのは全体としてボールを制球する能力に長(た)けている。メジャーリーグの投手は必ずしもそうではなくて、どちらかというと思い切り腕を振って力のあるボールを投げ込む投手が多い。たとえば、その力のあるボールがインサイドに来た時、大谷が腕をたたんで打つことができるのか。ここが打者として成功するかどうかのポイントだろうね」

 とはいえ、この関係者自身も大谷が打者として行くより、投手の方が現実的だと言う。

「大谷がこのまま順調に成長して、投手としてメジャーに行くとなった場合、当然のことながら多くの球団が獲得に動くだろうし、その時に発生する金額は莫大なものになるはずだ。彼を獲得するには2億ドル(約240億円)ぐらいかかっても不思議ではない。だけど、打者としては、まだそこまでの金額は出ない」

 彼以外にも、何人かのメジャー関係者に話を聞いたが、ほぼ全員が「打者はない。投手だ」と答えた。

 そんな中、ある球団のスカウトはこのように語った。

「あまり大きい声で言いたくないが、ウチは大谷に投手と打者、両方をやらせてもいいと考える」

 つまり、二刀流のまま海を渡らせるというのだ。このスカウトは続ける。

「どこの球団も当たり前のように大谷を投手として獲ろうとしているだろ? だけど、彼がやりたいのは、日本でもアメリカでも、投げて打つことじゃないのか? その両方で、彼はハイレベルなパフォーマンスを見せているのだから、ウチとしては、まだ熟考を要するけれど、両方をやらせてあげてもいいんじゃないかと思うようになっている」

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