無失点男。楽天・松井裕樹が語る「2年目の躍進」のワケ (3ページ目)

  • 穂積健太郎●文 text by Hozumi Kentaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 それだけではない。技術面での成長も著しく、高村祐ピッチングコーチは「昨年から取り組んできたフォームの安定」を躍進の要因に挙げる。

「ようやくフォームが安定して、ストライクゾーンの中で勝負できるようになりました。今はいつでもストライクが取れるという自信があるんじゃないかな」

 4セーブ目を挙げた4月14日の西武戦は、2-1とはじめて1点差での登板となった。先頭打者の渡辺直人には3球連続でボールとなったが、そこから持ち直してサードゴロに打ち取ると、最後の打者となった炭谷銀仁朗には3ボール2ストライクとフルカウントまで粘られたが、ピッチャーゴロに仕留め三者凡退。

 松井は「去年は3ボールまでいったらフォアボールになるんじゃないかって不安な気持ちがありましたが、今年は違います。粘れている」と手応えを口にした。

 そしてこの成長を陰でバックアップしたのが、チームの大先輩たちだ。オフに則本昂大と辛島航、そしてヤンキースの田中将大と沖縄で合同自主トレを行なった。約2週間のトレーニングで松井が取り組んだのは「フォームの中で立つ時間を作ること」だった。松井が説明する。

「田中さんと星洋介トレーナーにアドバイスをもらって、今は去年と違って反動をつけずに投げられるようになりました。反動をつけて投げると勢いがあるよう見えるのですが、その反面、軸がぶれてしまうんです。そうなると制球は定まらない。でも今は、軸もしっかりしてきたし、フォームの中でタメができるようになりました。これが安定感につながっているのだと思います」

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