無失点男。楽天・松井裕樹が語る「2年目の躍進」のワケ (2ページ目)

  • 穂積健太郎●文 text by Hozumi Kentaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 これまで経験したことのない"クローザー"の大役。それでも松井はまだ8試合だけの登板とはいえ、見事にその役目を果たしている。

 ルーキーイヤーの昨季は、オープン戦で4試合に登板し防御率1.13と好成績を残して開幕ローテーション入りを果たしたが、制球が安定せず、登板のたびに自滅を繰り返した。星野仙一前監督から最後通告を受けて登板した4月23日の西武戦でも5回を5安打、8四死球、5失点と炎上し、二軍行きを告げられた。

 当時、二軍監督として松井を見ていた大久保博元監督は、その時の様子を「自信をなくしていて、クシャクシャになっていた」と振り返る。いきなりぶち当たったプロの壁。躍動感を失い、持ち前の腕の振りの良さもなりを潜めた。松井は言う。

「去年は初めてプロ野球の世界に入って、慣れないことがたくさんありました。高校の時はナイターの試合はないですし、寝るタイミングが全然違う。それと、キャンプの時から周りの目が気になって仕方ありませんでした。常に誰かに見られている感じがして、『もう放っておいてくれ』とか思ったりして......。でも今年に関しては、去年の経験が生きているというか、生活のリズムもちゃんとつかめていますし、周りの目も気にしなくなりました」

 特に今年のキャンプでは、安樂に注目が集まったことも、リラックスできた要因のひとつだったと言う。

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