防御率1点台! ヤクルト投手陣「覚醒」の秘密に迫る (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 入団3年目の石山泰稚も昨年の苦い思いを語る。昨年、石山は35試合(うち先発は14試合)に登板して3勝8敗、防御率4.53の成績だったが、今季は3試合に登板して1勝1敗ながら、防御率0.43とリーグトップをマーク。4月15日の広島戦では前田健太と投げ合い、1-0で勝利した。

「昨年は思うようなボールが投げられず、本当に苦しいシーズンでした。『どうすればいいんだろう』って、ずっと考えていました。決め球というか、あとひと押しが足りなかった。追い込んでから変な力みが出てしまい、ボールが浮いてしまって打たれることが結構あったんです。でも、そういう苦しい経験をしたからこそ、今があるのかなと思っています」

 はたして、投手陣全体で何か取り組んでいることはあるのだろうか。練習を見に行ったのだが、昨年と大きな違いはなく、変化といえば、登板当日の先発投手の合同練習免除と、試合前にバッテリーミーティングを導入したということぐらい。練習内容や調整法は、昨年とまったく同じだという。高津臣吾ピッチングコーチに「好調の理由」を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「正直、ケガ人による欠員が出ていないことが、好調のいちばんの要因です。昨年は小川泰弘、ロマン、バーネットがケガで長期離脱しました。そういう状況で戦うのは厳しいですし、チームも悪い方へ行ってしまいます。昨年の投手陣には、何となく一軍に残って、何となくローテーションに入っている感じがありました。振り分けようにも、人がいませんでしたから(笑)。それが、今年はこの3人が健康でいてくれて、そこに成瀬善久とオンドルセクも新たに加わった。これによって投手陣に競争意識が生まれました」

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