好調ベイスターズ。改革のキーワードは「走」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

 たとえば、4月8日の阪神戦。5回表に梶谷がセンター前ヒットを放つと、打球がセカンドベースに当たり、打球の勢いが弱まった。その時、梶谷はセンターを守る江越大賀のチャージが緩慢だと見るや、すかさず二塁を陥(おとしい)れた。その後、筒香のセンターフライで三進し、バルティリスの犠牲フライで得点に結びつけた。

 また4月15日の巨人戦では、石川がポテン気味のレフト前ヒットで二塁まで到達している。間一髪のタイミングではあったが、積極果敢な走塁でチャンスを広げた(この時は後続が倒れて無得点)。

 走塁への意識の高さがチーム全体に浸透していることを裏付けるように、盗塁以外の走塁死がすでに10個もあるが、それでも次の塁を狙うという機動力を武器にしたベイスターズは、他球団にとって厄介な相手だという印象を与えていることは間違いない。

 現在、打線は好調だが、対戦がひと回りしてデータも蓄積され、これまでのように簡単に打てなくなることは十分に考えられる。

「必ずどこかでチームの状態が落ちてくる時がきます。その時、今の状況を思い出せるかどうかでしょうね。今は勢いだけでやっている部分がありますが、なぜ自分たちは勝てているのかきちんと分かってくれば、これからも粘り強い戦いができるはずです」(小池コーチ)

 長いシーズンを制するには、打撃力だけでなく、機動力をからめた戦いが重要だということだ。そして今、今後の戦いを見据え、ベイスターズの選手たちは経験を重ねている。進藤コーチは次のように語る。

「大事なことは構えないこと。常に隙があれば何かを仕掛けてやろうという気持ちで戦ってもらいたいですね。今年に関しては、選手ひとりひとりがギリギリの中のプレイを積み重ねていくしかないと思います」

 ベイスターズが掲げる「走る」意識改革は、今後、どんな成果をもたらすのか。まずは、ダイアモンドを駆け巡る選手たちの躍動が1シーズン続くことを期待したい。

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