ヤクルト山田哲人が目指す、200安打と「もうひとつ」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 阪神戦での2発を見ると、「3割、30本塁打、30盗塁」の期待もかかります。

「それは無理っす。自分自身の感覚で言えば、ホームランは無理かなと思っています」

 昨シーズン終盤、山田が大島洋平(中日)、菊池涼介(広島)と最多安打のタイトル争いをしている最中、杉村コーチはこんなことを言っていた。

「プロに入ってくるような選手は、状態さえ良ければみんな3割を打つ力はあると思います。でも、1年を通して状態が良い時というのは、そんなにない。その中でいかにして結果を残せるかが、一流と二流の違いになる。だから、どん詰まりでもヒットにできる打者はすごいんです。そして、そういう1本を打つために、選手たちは日々練習に励むんです」

 山田は昨年同様、早出のティーバッティングを欠かさず続けている。その光景は昨年とまったく変わらないが、今年はバッティングだけでなく守備や走塁の技術習得にも積極的だ。キャンプ中も三木肇内野守備・走塁コーチにアドバイスを求めていた。

「走塁に関しては向上している実感がありますね。守備はまだまだですね。エラーも1個してますし、それも凡ミスだったので。まだまだです。昨年は相手から嫌がられるバッターを目指していましたが、そうですね、今は相手から嫌がられる野球選手を目指してやっています。やっぱり、相手から嫌がられる選手が、チームでも信頼されている人だし、チームを引っ張っている存在だと思うんで」

 山田は「週に7~8本のヒットを打つこと」を目標にしている。昨年もこれをコツコツとクリアしたことで、193本のヒットを積み重ねた。今年も目の前の目標を少しずつクリアしていけば、きっと200安打も見えてくるに違いない。

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