巨人・高木勇人の野球人生を変えた「魔球」との出会い (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 その結果、制球力の向上はもちろん、球威も140キロ後半がコンスタントに出るようになった。そして解禁となったカットボールを投げると、打者の手元で急に鋭く曲がる独特の軌道を描いた。「スライダーとカットボールの中間のような球」という、高木にしか投げることのできない"魔球"が完成した。

 カットボールを習得したことで、ストレートも生き、面白いように三振が奪えるようになった。そして社会人7年目の昨年、巨人から3位指名を受け、25歳にしてようやくプロ入りを果たした。

 1年目のキャンプ、ドラフト2位の戸根千明とともに一軍に抜擢されたが、当初は先発候補が10人近くおり、高木は中継ぎ候補のひとりとして考えられていた。だが、内海哲也が戦線離脱し、宮国椋丞や今村信貴といった若手も伸びず、マイコラス、ポレダの両外国人も不安定な投球を繰り返すなど、ローテーションは崩壊寸前だった。

 そんなある日、ブルペンで投げる高木の姿が原辰徳監督の目に留まった。高木のカットボールを見た指揮官は、「あのボールは独特。シーズンが終わる頃には"高木ボール"と呼ばれているんじゃないか」と絶賛。同時に、高木を先発として起用することを決めた。

 もともと、先発としてプロでやっていきたいと考えていた高木は「このような環境を与えていただき、光栄です」とオープン戦で結果を出し、先発ローテーション入りを果たした。

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