ケガにも負けず。中日・山本昌「目標は岩田鉄五郎」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

「岩田鉄五郎さんね(笑)。鉄五郎さん、ちゃんとローテーションで投げてましたよね。1勝10何敗でしたけど(苦笑)。岩田さん、確か50歳の頃、200勝400敗だった。ああやって岩田さんみたいに50歳でもバンバン投げてね、そういう中で勝てないかなって思うんです。もちろん、あんなに負けたらチームに迷惑かけるんで、勝ったり負けたり、で、また勝ったりしながらね」

 ドラゴンズの開幕ローテーションは依然、流動的だ。山本昌は、記録のためではなく、チームの戦力として、本気で開幕ローテーション入りを意識していた。

 しかしながら、一球で降板したのが山本昌だと聞いたとき、つい野球の神様に思いを馳せてしまった。野球の神様は、今の彼に何を求めているのか、と――ふと、思い出したのは山本昌のこんな言葉だ。

「もしこの世が“故障のない世界”だったら、プロ野球の勢力図ってのは3分の2は変わってると思います。桑田(真澄)くんとか清原(和博)くんは、誰が追いかけても絶対に追いつけない存在だったろうし、ケガのことを考えずに野球の素質ということだけでいったら、僕なんか、とっくに辞めてると思いますよ(苦笑)」

 そうはいっても、山本昌もこれまでに何度もケガに泣かされてきた。左ヒジ、左ヒザ、左足首、右足首……そのたびにケガと向き合い、乗り越えてきた。そんな話をしていたとき、彼の口から「野球の神様」というフレーズが出てきたのである。

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