7年目の正直。巨人・大田泰示は「今年こそ本物か?」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 大田は紅白戦を含めたすべての実戦で4番に起用され、3月1日現在、39打数14安打、打率.359とアピールを続けている。この結果に、さすがに大田自身も手応えをつかんでいると思っていたら、そんなことは一切なかった。

「もっともっと、正確性を高めていかないといけない。大きいのばかりを求めてしまうと打率が悪くなる。それを捨てるとは言わないですけど、いかに確率を上げるかというのが、今の自分にいちばん大事なこと」

 周囲は「今年は間違いない」「覚醒は本物」「4番は大田だ」と沸くが、本人はいたって冷静だ。

「開幕一軍を果たし、スタメンで出ないことには4番の座をつかめない。シーズンを通して4番を打った経験もないですし、とにかくこういう結果がこれからも残せるように継続していくだけです」

 試合が終わると、バットを持って打撃ケージに向かう大田の姿があった。時間が許す限り、打ち込むためだ。

 かつて巨人の不動の4番だった松井秀喜氏がつけていた55番を背負った時期もあった。自信はあったが、プロの壁は想像以上に厚かった。だが、苦しんだ分、得られたものはたくさんあった。今の大田には、どんな現実が待ちうけようが、すべてを受け入れる強さがある。

「今年の大田は本物か?」――その答えが明らかになるのは、もうすぐだ。

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