伝統の背番号8を継いだ日本ハム西川遥輝が目指す最強の1番 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「去年は後半、ボールに強くコンタクトできなくなってしまったんです。自分がイメージしている理想のスイングができなかった。陽(岱鋼)さん、中田(翔)さんがドドドッと打ち出して、僕ら(中島卓也との)1、2番のどちらかが塁に出れば何とかなるという雰囲気になったじゃないですか。だから僕としては、塁に出て盗塁して、送りバントでワンアウト3塁という形を作ろうとした結果、塁に出ることばかり考えて、徐々にスイングが小さくなってしまったんです。

 構えも、変えようと思ったわけじゃない。考え方が変わると、自然と構えも打ち方も変わってしまう。追い込まれたらファウル、ファウル、ファウル……いま思えば初球くらいは大きくスイングするとか、やりようはあったと思いますけど、でも後半はひとつも負けられない試合がずっと続いていたんで、とにかく力を抜いて、ボールにコンタクトすることだけを考えてしまった。

 苦しんで、苦しんで、どうすることもできなくなって、ああなったんです。ホント、あの打ち方は苦し紛れでした」

 結果を求めて、小さくなった。1番として塁に出ることを最優先に考えた結果、長打を打てる魅力を自ら封印し、バッターとしての怖さを失ってしまったのだ。だから、今年の西川は強いスイングを取り戻すことを最優先に考えている。

「去年、ホークスの柳田(悠岐)選手が途中からずっと1番を打ってたじゃないですか。あの人は、僕の中では1番バッターではないと思うんですけど、でも、あれくらいのインパクトがある1番バッターは、やっぱり怖いですよね。あれだけ長打力があって、出塁率も高くて、盗塁もできる1番バッターは、ひとつの最終地点じゃないかなと思いました」

 走ることに関しては揺るぎない自信がある。ホームランも30本を期待されているわけじゃないことは重々、理解している。ただ、理想の1番バッターに必要なのは、3割を超える打率を維持しながら長打もあるという怖さを相手に感じさせることだと、西川は考えている。

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