新守護神候補・澤村拓一が語る「理想のクローザー」 (2ページ目)

  • 高松正人●文 text by Takamatu Masato
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 それに、自分のピッチングによって他の投手の勝ち星を奪うことだってある。肉体的にも精神的にもタフさが求められるこのポジションを自分がやっていけるのか、不安は消えない。

 それでも「立ち止まるわけにはいかない」と、このオフ、中央大学時代の後輩である鍵谷陽平(日本ハム)と自主トレを行ない、ハードなメニューで体を鍛え抜いた。すべては1年間戦うための強い体を手に入れるためだ。

 さらに、宮崎のキャンプではチーム練習が始まる前からウエイト室にこもり黙々とトレーニングを敢行。ブルペンでも投球は40球前後と、少ない球数で精度を上げる練習に取り組んでいる。先発をしていた時とは明らかに違う方法で調整に励んでいる。

 そんな澤村にとって心強い存在が、今季から一軍を任されることになった豊田清投手コーチだ。豊田コーチは西武時代の2002年、2003年と2年連続して最優秀救援投手に輝いた実績を持ち、2012年から巨人の二軍で若手の指導にあたっていた。だが、「澤村を指導してほしい」という原監督の要望で一軍に昇格。このキャンプでも調整法やリリーフの心得などを澤村に伝授している。

 当初は、「リリーフに向いているとは思わない」と話していた澤村だが、日を追うごとにたくましさが増してきた。150キロを超すストレートに、フォーク、スライダーなど空振りが取れる変化球がある。本人は謙遜するが、リリーフに必要な要素は持ち合わせている。そんな澤村に「これから何が必要になると思うか?」と聞くと、次のような答えが返ってきた。

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