開幕ローテへ。斎藤佑樹がイチローとの秘密練習でつかんだ感覚 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 すると厚澤コーチがすかさず言い返した。

「おいおい、あれでよかったのかぁ?」

 斎藤は、苦笑いを浮かべる。

「いえ、よくなかったです、全然、ダメでした」

 厚澤コーチが「そうだろう、あの程度で満足する佑樹じゃないよな」と斎藤をからかうと、斎藤も笑いながら、「ハイ、満足しません」と続ける。

 そしてテンポよく、16球を投げ込んだ。強いストレートが低めへ構えたミットに吸い込まれていく。このときのストレートは、ベイスターズに打たれたボールとはあまりに違っていた。

 斎藤佑樹は今年、プロ5年目を迎えた。

 ここまでの4年間で13勝16敗。 去年の先発は6試合。今シーズンもローテーションに入れる保証はない。この時期、ファイターズのローテーション候補は今のところ、8人といったところか。 大谷翔平、ルイス・メンドーサ、浦野博司、木佐貫洋、吉川光夫、中村勝、上沢直之、そして斎藤の8人。ここにベテランの武田勝、新外国人のビクター・ガラテ、ルーキーの有原航平や瀬川隼郎も加われば、激戦は必至だ。

 開幕からの日程を眺めてみると、6連戦は4月には一度しかない。ということは、ローテーションは5人で回すことができる。6人目が必要なのは4月に限れば その6連戦中の1試合だけで、次に6人目が先発するのは1カ月も先になる。つまり開幕から中6日で先発するには、5番目までに入らなければならないということだ。

 そして、斎藤はキャンプ序盤の状態についてこう話している。

「去年のシーズンが終わっていい感じで来ていたので、それを継続しようと思ってこのオフ、やってきました。実戦にならないとわからないんですけど、今の段階ではいい感じで投げられていると思います」

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