オリックス・駿太が本物の「イチロー二世」になるとき (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ただ、佐竹学守備・走塁コーチは「駿太の肩の強さはイチローさんと重なります。送球の精度は全然及びませんが、強さだけなら負けていない。12球団を見ても、間違いなくトップクラスです」と絶賛する。その一方で、「身体能力は高いのに、まだ生かしきれていない」とも言う。

 その一番の課題が走塁だ。特に、スピードに乗るまでに時間がかかってしまい、それが内野安打や盗塁の少なさ(昨シーズン5個)につながっている。本人も「スタートから3歩目ぐらいをいかに速く走れるか」をこのキャンプで取り組んでいる。

 コーチ陣から課題が挙がるのは、可能性の裏返しでもある。小川コーチは「駿太のスタイルを確立してほしい」と言う。

「彼のスピードというのは大きな武器。それをバッティング、守備、走塁で生かしてほしいと思いますね。僕らが現役の時も、イチローが1番打者として活躍し、95年、96年と連覇を成し遂げました。イチロー効果でチームが勢いに乗ったのは間違いありません。駿太にもチームに影響を与えるような活躍を期待したいし、彼ならやってくれるはずです」

 その期待は、駿太自身も感じとっている。

「人生が変わるくらいの1年にしたいです。そのためにも、紅白戦やオープン戦でしっかり結果を残して、シーズンに入っていきたい」

 昨年は同期のヤクルト・山田哲也が大ブレイク。駿太はそれに負けないぐらいの活躍をすることができるのか……その予感は大いにある。

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