オリックス・駿太が本物の「イチロー二世」になるとき (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 昨年のオリックスのチーム打率はソフトバンクに次ぎ2位だったが、1番打者の打率.236はリーグワースト。ちなみに、ソフトバンクの1番打者の打率は.312で、その差は歴然だった。駿太が1番を打つためには、いま以上に打撃の成長が求められる。佐藤真一バッティングコーチは次のように語った。

「今回のキャンプでの駿太のバッティングを見て、昨年の秋よりも力強さが出たと思います。課題を挙げるとすれば、フライが多いこと。彼は長距離打者ではないので、もっと低く強い打球を心がけて、二塁打、三塁打が増えるバッティングが理想です。そのためのバッティングをこのキャンプで作り上げていきたい」

 昨年、69本の安打を放った駿太だが、内野安打はわずか5本。本人の記憶によると、「セーフティバントのヒットが3本か4本」。俊足の左打者としては意外な数字だ。さらに、177あった凡打のうち、三振が55、ゴロアウトが68、フライアウトが54。この数字について、駿太は次のように語った。

「内野安打が嫌というのはもちろんありません。ただ僕の中では、技術のない人が体勢を崩されてヒットを打つというのはない。きれいな形で、きれいな打球が打てるようになってから、そういうヒットが増えてくるはず。今の僕はまだそのレベルじゃない。とにかく今は、甘い球をミスショットしないようにすることを心がけたい」

 駿太は高校時代、走攻守三拍子揃ったプレイスタイルから“上州のイチロー”と呼ばれていた。ただ、当の本人が好きな選手として挙げていたのが、当時ロッテの西岡剛(現・阪神)だった。

「特に深い意味はないんですが、あの時は西岡さんが格好いいなと思っていました。“上州のイチロー”なんて言われていましたけど、僕を知っている周りの人は、『イチローじゃないだろう』って言っていましたし、僕もそう思っていました。」

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