松坂大輔、「完全復活」への3つのチェックポイント

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 しかし、メジャーで作り上げた2014年型のフォームは、日本のボール、マウンドでも機能するはずだというのが、今のところの松坂の発想である。そのために、段階を踏みながら、慎重にチェックしていかなければならない。ホークスの投手陣が投げ終わった後、誰もいないブルペンにひとりでこもって30分、スパイクも履かずにアップシューズで100球近くを投げたのには、そんな理由があったのではないかと思う。

 まず、キャッチボールで股関節と肩甲骨の動き、腕の振りを確認する。ブルペンでのシャドウ・ピッチングは、傾斜のあるところでフィニッシュの形を正確に作れるかどうかの確認作業だろう。そして、ブルペンに敷かれた日本ならではの土の柔らかさ、ボールの違いを体に染み込ませながら、立ち投げを繰り返す。それが第1クールでの仕事になる。松坂は初日のピッチングについて、こう言っていた。

「スパイクを履くと力が入ってしまいますから、自分にセーブをかけるためにスパイクを履きませんでした。感覚的には久しぶりですね。足を踏み出した時に、沈む感じがありました。すぐに満足いくという形にはならないし、1クール目はこんな感じで……まずはチェックすることに時間をかけたいと思っています」

 もともと、松坂はフォームを作り上げる過程を見せたがらない。ただし、今の作業は試行錯誤ではない。松坂の頭の中には、すでに開幕までの航路図ができあがっている。

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