「もう悩まない」。プロ5年目、斎藤佑樹の決意 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 理想的なフォームの最大の特徴を言葉にしていただくとしたら?

「僕の場合、右ヒザを折って低い位置から投げに行くことで、最終的なリリースポイントの幅が広く取れるようになるんです。右ヒザを曲げずにパチーンと離すと、ボールを強く叩けるんですけど、合うところが一点だけになってしまう。それよりも低いところから入って、リリースポイントの幅を保ちながら、線のどこで離しても指に掛かるイメージで投げた方が、低めの両サイドに真っすぐのボールが伸びる感じが出るんです。そこから変化球を落とすと、さらに効果的になると思います」

―― 今年の初登板は開幕2戦目でした。そこでそれなりのピッチングをしながら、2度目の登板でコントロールを乱して、ファームへ......今、振り返ると、何がああいう結果をもたらしてしまったと思いますか。

「いろんな気持ちがあまりにもたくさんあり過ぎて......もちろん、抑えたいという気持ちが空回りしたことはあったと思いますけど、それよりも技術的な問題が大きかったと思います。あの頃のフォームは、ボールをパチーンとリリースすることはできていたんですけど、ボールを離した後がわからないという感じでした。結局、ボールを操れてなかったんですよね。いい球は行くかもしれないけど、ボールが操れてないから、常にいい球が出ない。フォームが固まってなかったんです」

―― そのフォームが固まってきて、シーズン終盤にはボールを操れている印象を受ける試合がいくつもありました。それでも一軍で2勝、クライマックスシリーズではメンバーから外れた......そこはどう受け止めていますか。

「それも、やっぱり完璧には体現できていなかったからだと思います。頭の中でわかっていても、いろいろ回り道したクセは体に残って、簡単には抜けない。それに加えて、自分の体が元気なときにはそのフォームで投げられても、元気じゃなくなったらフォームがズレてしまうんです。6月(7日)に室蘭で投げたイースタンのベイスターズ戦あたりから、一軍に戻った7月(12日)、札幌でのホークス戦あたりまではすごくよかったんですけど、その後、また迷いが生じたりして......」

―― まだ何か、他に新しいものがあると?

「7月のホークスとの試合は5回を1点に抑えたんですけど、勝ち負けはつきませんでした。目指していたピッチングがある程度できていたのに、それでも勝ちがつかなかった。そこでなぜだろう、もしかしてこれじゃダメなんじゃないかと考えてしまったんです。勝てなかったのは5回までしか投げられなかったからだ、6回、7回まで投げなくちゃ、先発としての仕事を果たしたことにはならない、そのためにはまだ変えなくちゃいけないところがあるはずだと......」

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