大谷翔平、新春の誓い「15勝、20本塁打は達成したい」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 阿部卓功●写真 photo by Abe Takanori

―― 開幕の頃には、今年の曲、つまり“2014年の大谷翔平”を奏でる音合わせが終わったという感じだったと。

「そうですね。ただ開幕の時点では、どのくらいの体を操れるスキルやセンスがあるのかまでは僕自身にもわからなくて……たとえば今の僕なら100キロの体重を操れても、一昨年の今頃の僕には、それを操るための力が全然、足りてなかったと思います」

―― 第一楽章のクライマックスが、交流戦の頃?

「音合わせが済んで、全体のレベルが向上してきたと感じたのが6月くらいでした。これは、想像の範囲内でした」

―― このオフも、さらなるレベルアップを目指して、体重は増やしていますよね。

「去年はかなり細かったし、やれるだけのことをやればよかったんですけど、これからは体重が120キロになったとして、その体をうまく使う作業が僕自身にできる実力があるのかといったら、そこがわからない。だから、ここからはちょっと慎重にならなきゃいけないなとは思っています」

―― バッターとしてのバッティングを考えた場合、体を大きくするに越したことはないと思いますけど、ピッチャーの調整力を考えた時には、体が大きくなり過ぎるリスクは常にあると思いますが、そのバランスはどう考えているんですか。

「そうですね……バッティングは直接、筋力の作用する部分が大きいし、動きにも結果にも出やすい。打球が飛ぶようになれば、効果を実感できますからね。 体を大きくすることによって得られる技術的な進歩は、バッターのほうが大きいんでしょうね。ただ、ピッチャーはそういうわけにはいかない。それがここから慎重にならなきゃという理由です」

―― これからウエイトは減らしていくということ?

「いえ、そんなつもりはありません。今の僕の体は、まだ最低基準にも達してないと思っています。筋肉はピッチャーとして邪魔にさえならなければ、もっとつけても大丈夫かなと……バッターに必要でピッチャーをするのに邪魔な筋肉は、持っていても使わなければいいのかなと」

―― もともと、バッターとしてはのびのび、楽しそうに野球をやっているのに、ピッチャーとしてはそうではないと……。

「去年、稲葉(篤紀)さんにそう言われましたね(笑)。『ピッチャーの時のお前はつまんねえな。入り込み過ぎるせいか、見ててあんまりおもしろくない』って」

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