大谷翔平の告白「162キロより156キロの方がいい」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 阿部卓功●写真 photo by Abe Takanori

―― 去年のシーズン中、球威が上がった理由はオフに考えるとおっしゃっていましたが、オフになってそのあたりはどういうふうに整理していますか。

「球速が上がったのは、体が強くなったことだと思っています。だから去年のオフにやってきたウエイトトレーニングはすごく大きかったなというのがひとつ。 あとは、大きくなった体を動きの中でうまくまとめられたこともよかった。セットにしたり、フォームをいろいろ試したりした中で、動きをまとめられました。ただ、それは球速を上げるためにしたのかと言われれば、そうじゃなくて、投手としての総合的な部分でそれが必要だなと思ったからそうしたのであって、球速を上げるための練習ではなかったんですけどね。結果的に上がったなと……」

―― 2年目を振り返ると、自分の中では何が一番前に進んだと考えていますか。

「相手と勝負できるようになったところですね。1年目の僕だったら、相手より自分の問題でこうしなくちゃいけないとか、結果的にフォアボールを出しちゃったかなというところがあったんです。でも、自分に対する不安がなくなって、相手を抑えるためにどうすればいいのかというところに集中できるようになったんです」

―― 確かに、調子のいいときには、見ていて打たれる気がしませんでしたが……自分自身、これは絶対に打たれないというボールを投げたのに、そのボールを打たれてショックを受けたという記憶はありますか。

「いや、ないです。コントロールは大事なんですけど、ある程度、質の高い真っすぐで押せている日にはコースは関係ないんです。ド真ん中にいっても、ファールを取れる。だから調子がいい日に限っては、あんまりコース云々ではないのかなって感じです。もちろん調子が悪い日に関してはボールの質が低い分、コースで何とかしなきゃいけない部分があって、そういうときにコースを間違えたら打たれるっていうことはあるんですけど、ボールの質が高い日はコントロールは気にせず、押していけます。だから自分で今日はいいな、質が高いなと思った日に、コントロールよく行ったボールが打たれた記憶はありません」

―― 一度もないんですか……その自分の感覚でいいと思うとき、ガンのスピードはどのくらい?


「156キロですね。カウントを取るボールも含めて156キロが、今のところ、いいボールが多いと思います。僕の場合、引っかけ投げのときに速いボールが 出やすいんです。左バッターのインコースを狙いに行って、足元に抜けていくようなボールとか……そういうボールがスピードは出やすいなって感じています。高めのより低めに引っ掛けたときのほうが、スピードは出やすい。質の高いボールの時は、高めのほうが強いボールが多い。自分が全力で投げたとき、質の高いボールを投げられれば一番いいんですけど、今のところは、ちょっとセーブしつつ、体の強さで投げに行ったときの156キロのほうが、結果的に質が高い感じがします」

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