阪神番が見た2014。和田監督が「闘将」になった日 (3ページ目)

  • 石川隆議(大阪スポーツ)●文 text by Ishikawa Takayoshi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 手応えの根拠は福留の復調気配だった。移籍1年目の昨年は打率.198と大きく期待を裏切ったのに続き、今季も開幕から本来の打撃を取り戻すことができずに打率も2割前半に低迷。「何で福留を使い続けるのか」という疑問が周囲から沸き起こる中、和田監督は「絶対に必要な選手」と言い続けた。一度は6月10日に一軍登録を抹消するが、これもリーグ戦再開という再スタートのタイミングで本領発揮してもらうためだった。

 二軍戦でも結果が出ないこともあって一軍復帰には批判的な意見が多かった。それでも和田監督は信念を貫いて福留をスタメンで抜擢した。その復帰初戦で5打数2安打。「結果もそうだけど福留らしい打撃、打球が出るようになった」と和田監督が明かしたように、十分に復調を感じさせる内容だった。

 指揮官の自信と信念に導かれるようにチームは7月に13勝5敗と大きく勝ち越し、再びV戦線に復帰。9月初旬に首位・巨人との直接対決で3連敗を喫するなど6連敗で逆転Vが絶望的になったが、CSファーストステージで広島に連勝し、ファイナルステージでもセ・リーグ覇者の巨人に4連勝。9年ぶりの日本シリーズ進出を果たした。

 浮き沈みの激しい「ジェットコースター・シーズン」となった2014年。最終的に日本シリーズ進出という結果を残した契機となったのは指揮官自らが変身して沈滞ムードを打破した「7月の快進撃」だ。シーズン終了後、フロント首脳も「いろいろな意味で殻を破ることができたシーズンだったんじゃないか」と評価した。

 来季は球団創設80周年というメモリアルイヤー。坂井オーナーは2005年以来10年ぶりのリーグ優勝、1985年以来30年ぶりの日本一を厳命している。FA戦線をはじめ補強戦略は誤算続きだが、大きな進化を遂げた4年目の和田阪神なら悲願達成も夢ではないはずだ。

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