谷繁元信「監督室にいる時がいちばん孤独なんです」 (5ページ目)

  • キビタキビオ●構成 text by Kibita Kibio
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

谷繁 経験豊富なピッチャーは、サインには頷きますけど、嫌な予感がする時はわざとボール球を投げるんです。

野村 シゲは、ピッチャーが意図的に外したとわかるからいいと思うよ。なかには、それに気づかないキャッチャーもいるからね。逆に、ピッチャーもそこに投げるつもりが違うところにいって、それで抑えられるという時もある。

谷繁 紙一重ですよね。だから、「この場面は、最低でもこれだけを避ければいい」ということがわかってくれば何とかなります。

野村 でも、濱田(達郎)のような若いピッチャーは、まだ投げることに精一杯ですよね?

谷繁 今はそれでいいと思います。

―― 攻撃の時にプレイングマネージャーの難しさを感じることはありましたか? たとえば、ご自身が塁上にいる時に直接サインを出すようなことはありましたか?

谷繁 最終的な判断はすべて僕がしていました。ただ、僕が塁上にいる時は、あまり機動力を使うような場面はないですからね(笑)。細かいところまではさすがに言えませんが、選手交代を含め、ベンチとやりとりする合図は作っていました。

野村 作戦を考えるのは初めての体験だったと思うのですが、そこは問題なく?

谷繁 大丈夫でした。森(繁和)ヘッドコーチや、辻(発彦)コーチらと連携して、そこに関しては楽しくやれました。負担になるようなことはまったくなかったです。

野村 シーズン中、落合(博満)GMと話すことは?

谷繁 よく話しましたよ。しょっちゅう球場に来られていましたから。

野村 込み入った話をすることも?

谷繁 内容まで言えませんが、もちろんありました。ただ、そんな長話にはならなかったです。

次回につづく>

■撮影協力/ぐらすうっど(横浜市青葉区)

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