もはや侍ジャパンは全パ!? セの選手に求められる個性 (3ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 同じく解説者の金村義明氏は「あくまで個人的な意見ですが……」と前置きした上で、このように語った。

「パ・リーグからメジャーやセ・リーグに移籍する選手が多いせいか、ポジションが空きやすいですよね。場合によっては、若い選手を育てるためにわざと空けるチームもあります。その空いたポジションを外国人や他球団からの選手で補うのではなく、生え抜きの選手に任せる。だから、選手のモチベーションがすごく高いですよね。そうした積み重ねが、パ・リーグの強さになっていると思います」

 ポジションが空くことで選手が育ち、新陳代謝が行なわれることでチームが活性化する。先を見据えても若い選手の起用が、強さの源になっているというのだ。

 もちろん、セ・リーグにも菊池や今シーズン大ブレイクした山田哲人(ヤクルト)のような有望な若手がいる。金村氏も与田氏もそこに期待する。

「選手個々のレベルはセ・リーグもパ・リーグも大きな差はありません。ただ、セ・リーグの選手はバランスがいいというか、言い換えれば個性がない。とんでもない速い球を投げたり、規格外のホームランを打ったり、そんな選手が出てきてほしいですよね。指導者はもっと個性を大事にすべきだと思います」(金村氏)

「今シーズン、山田哲人(ヤクルト)が大ブレイクしましたが、セ・リーグにも期待の若手がいっぱいいます。あとは、彼らがどのようにして経験を積むかです。結果を残してからレギュラーとして起用するという考えもありますが、意識的に育てていくというやり方も必要ではないでしょうか。それが実を結べば、リーグの格差などあまり話題にならなくなると思いますよ」(与田氏)

 目先の1勝に左右されず、チームだけなくリーグ全体の大計を描けということだろう。第4回WBCが行なわれるのは2017年。はたして3年後、侍ジャパンに名を連ねるのはどんな選手なのだろうか。

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