2014.11.27

もはや侍ジャパンは全パ!? セの選手に求められる個性

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 たとえば、日本一を決める日本シリーズ。2010年以降の5年間は、パ・リーグが4勝1敗と圧倒している。今年もセ・リーグの阪神がソフトバンク相手に1勝するのがやっとだった。それ以前の2000年から2009年までの日本シリーズは5勝5敗と拮抗していたのだから、セ・リーグの凋落は近年著しいと見ていいのではないか。

 それは、毎年、その年の最高の投手に贈られる沢村賞の受賞者を見てもわかる。セ・リーグの投手は2010年に前田健太(広島)が受賞したあと、ひとりも受賞していない。今年の金子千尋(オリックス)まで4年連続パ・リーグの投手が沢村賞の栄誉を手にしている。そもそも2000年以降、セ・リーグの受賞者は上原浩治(当時・巨人)、井川慶(当時・阪神)、川上憲伸(中日)、そして前田の4人しかいない。

 昔から「人気のセ、実力のパ」と言われたものだが、その傾向はここに来て一層強まっているのではないか。

 問題はその理由だ。なぜ、そのようなことが起きたのか。解説者の与田剛氏は次のように語る。

「交流戦や日本シリーズを見て感じるのは、パ・リーグの選手の力強さです。日米野球で見せた柳田のスイングや大谷の投球に代表されるように、パ・リーグの選手は力勝負で負けないように心掛けているように思います。投手は打者を力でねじ伏せようとするし、打者はそれに負けないようにフルスイングで応える。そうした傾向は昔からありましたが、いい意味でその伝統は今も受け継がれている。それに比べてセ・リーグは強さよりも技術のある選手が多い気がします。国を代表するチームになった場合、どうしてもスケールの大きい選手が目立ってしまいますよね」

 与田氏はもうひとつ、パ・リーグの育成方法にも注目する。

「パ・リーグのチームは『この選手を育てる』となれば、結果にとらわれず起用する。実戦での経験を大事にする球団が多い気がします。代表的なのが中田翔です。2012年は開幕から4番を任されるも25打席ノーヒットなど、シーズン序盤は打率1割台と苦しみました。それでも4番として最後まで使い続けた。そして今年は打点王のタイトルを獲得し、侍ジャパンでは不動の4番です。地位が選手を育てた好例だと思います。日本一になったソフトバンクなども、柳田や今宮健太といった選手を、ある程度結果に目をつぶりながら起用して育てた。他の球団にもそういう選手が出てきて、互いに刺激になっている部分はあるんじゃないでしょうか」