米スカウトが断言「大谷獲得には200億円が必要になる」 (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kazushi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 今回の日米野球で、前田、金子、大谷に注目が集まるのは、大会前からある程度予想されていた。では、彼ら以外でメジャースカウトたちの目に留まった選手は誰か。

 もっとも鮮烈な印象を残したのが、第3戦で5イニングをパーフェクトに抑えた則本昂大(楽天)だ。「人生最高の投球」と則本自身が語ったように、ストレートはうなりを上げ、スライダー、フォークともこれ以上はないほどのキレを見せた。

 ただ、ひとつ気になるのが則本のサイズだ。身長178センチは、メジャーの投手の中ではかなり小さい。体力的な問題も含め、サイズの小さい投手は敬遠したくなるのではないか。だが、スカウトB氏は「みんなサイズのことを気にしすぎだよ」と言い、身長の高い、低いで選手の能力を判断することに懐疑的だ。

 とはいえ、サイズの小ささに対する懸念が少なからずある一方で、一般論としてさらに厳しい評価を受けているのが野手だ。実際、多くのメジャースカウトがシーズン中に視察に訪れているが、彼らの目的はあくまで投手を見るためだ。

 C氏は菊池涼介(広島)について、「これまでメジャーでプレイした日本人内野手と比べてレベルは高いと思うけど、メジャーの速くて動くボールに対応するのは難しいんじゃないか」と見ている。

 そんな中、スカウトB氏はここ数年、日本から才能溢れる若手が次々と出てきていることに着目している。たとえば、今回の日米野球で活躍した菊池、柳田悠岐(ソフトバンク)、山田哲人(ヤクルト)といった面々は、いずれも昨年行なわれたWBCのメンバーに入っていなかった選手たちだ。B氏は「彼らはこの短い期間で日本のトッププレイヤーに上り詰めた。日本の野手については、この3年ぐらいの間で間違いなく成長している」と興奮気味に話した。

 この他にも、糸井嘉男(オリックス)、中田翔(日本ハム)、坂本勇人(巨人)らといった野手が、メジャースカウトたちのリストに入っているようだ。

 来春には再び侍ジャパンが招集され、強化試合が予定されている。また、秋にはプレミア12()が開催されることになっている。こういった機会に、今回の日米野球同様、多くのメジャースカウトが訪れるのは恒例となっていくのだろう。その時、彼らの目に留まる日本人選手は誰なのだろうか。
※世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催の国際大会で、WBSCが選出した12カ国・地域が参加。第1回大会は来年11月に台湾で開催される予定。

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