22歳の挑戦。山田哲人、シーズン193安打の舞台裏 (6ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 試合後に囲み会見が行なわれた。

―― 来年に向け、ああしたい、こうしてみたいということは?

「相手チームから嫌がられるバッターになりたいです。そして、また何かの記録を更新できたらなと思います。年間200安打も、なかなかできる数字じゃないですけど、いつか達成できるように頑張りたいです」

 今シーズン、真中コーチは少し離れたところから山田の成長を見守っていた。そして来シーズンはヤクルトの指揮を執ることが決定した。

「春の時点で考えていた1番打者としての役割を果たしてくれました。凡打したとしても自分のスイングができていました。彼にはフォアボールを選ぶのとはまた違った選球眼のよさがあって、自分の打つべきストライクの球をしっかりとチョイスできるんです。そこが凄いですよね。ただ、シーズン終盤にタイトルがかかってきてからは、若干ですが、ボール球に手を出していましたけど(苦笑)。とはいえ、まだまだ課題は多い。野球は打つだけの競技ではありません。守備があり、走塁がある。そして、彼がチームにもたらす影響というのを、これからは考えてほしいですね。チームが勝つために自分がどうすればいいのか。プレイするだけでなく、そういうところも考えてほしいと思います」

 少し手厳しいような気もするが、それは大きな期待の裏返しでもある。来年、山田に対する期待のハードルは、いやが上にも高くなる。

「やっぱり、3割、30本、30盗塁を達成してほしいよね」(杉村コーチ)

 山田がシーズン192安打を達成した翌日。ヤクルトの選手たちは、シーズン最終戦のこの日も、早出練習でバットを振っていた。もちろん、山田の姿もあった。

―― シーズンが終われば、しばらくティーバッティングから解放されます。シーズン中はティーバッティングをしないと落ち着かないと言っていましたが……。

「休みの時はしっかりと休みたいです。でも、体は動かさないといけないし、僕はまだ若いですし、やらないといけない人間なんで。ただ、オンとオフははっきりさせたいですね」

 この姿がある限り、来年もまた新しい驚きを私たちに見せてくれるに違いない。

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