不安要素だらけの広島が甲子園でミラクルを起こす3つの条件

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そしてもうひとつ、攻撃面でポイントに挙げたのが機動力だ。藪氏は次のように語る。

「広島の方が阪神より足がある。特に甲子園は簡単にホームランが出る球場ではありません。なので、ひとつの走塁が勝負を決めることもあると思います。広島とすれば得意である足を使った攻撃を仕掛け、いかにして得点に結びつけられるかが重要になってくるでしょうね」

 今シーズン、広島の盗塁数は96個で阪神の55個を大きく上回っている。それが功を奏したのか、リーグ2位の649得点を叩き出した。ただ、調子の上がらなかった9月は、盗塁数も減少し、同時に得点力も落ちた。

「ベンチの采配なのか、選手の判断なのかわかりませんが、盗塁を試みるケースが明らかに減りました。打線の調子が落ちているのに、足を使わない。打者任せみたいなことになっています。これでは得点力が上がりません。もっと自分たちで試合を動かしていこうという姿勢が大事です」(北別府氏)

 なかなか一発が期待できない甲子園での戦いにおいて、足を使った攻撃がより重要度を増すのは間違いない。9月以降、なりを潜めていた機動力野球が復活するのか注目だ。

 はたして昨年のように、敵地・甲子園で広島が奇跡を起こすことができるのか。運命の第1戦は10月11日、14時プレイボールだ。

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