阪神、逆転Vへ。巨人3タテの「ふたりのキーマン」 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その注目の初戦、阪神のマウンドに立つのがメッセンジャーだ。今季メッセンジャーは巨人戦に7度先発し、4勝0敗、防御率1.94と抜群の成績を残している。8月26日の試合でも、リリーフ陣が打たれ勝ち星こそつかなかったが、8回2失点の好投を見せた。

 藪氏は期待を込めて、次のように語る。

「おそらく巨人との3連戦はメッセンジャー、岩田、能見の3人が先発するでしょう。そして初戦は巨人戦に強いメッセンジャーです。巨人打線を相手にすると、変に意識してコントロールを乱す投手が多いのですが、メッセンジャーはストライクゾーンで勝負している。それが巨人打線を抑えるコツだと思うんです。巨人戦1勝4敗の能見を見ていると、いいところに投げようとしすぎてボール先行となり、ストライクを取りにいったところを痛打されている。今回は甲子園での試合ですので、そこまで一発を警戒する必要はありません。なので、思い切ってストライク勝負することができれば、結果はついてくると思います」

 その能見に関してだが、藪氏はちょっと驚くアイデアを披露してくれた。

「あくまでも個人的な意見ですが、能見を先発ではなくリリーフで使ったら面白いと思うんです。先発でいい結果を残していないというのもあるのですが、好投していても集中力が切れることがよくあります。でも、リリーフならその心配はない。それに能見は三振を取れるピッチャーですので、ここぞという場面で頼りになるはずです」

 今季の阪神は、先発から安藤、福原の両ベテランにつないで、抑えの呉昇桓で締めるのが勝ちパターンになっているが、夏場以降はベテランの中継ぎ陣にやや疲れが見えているのも確かだ。

「リードした展開で能見から呉昇桓につなぐ勝利の方程式です。これが完成すれば、先発もイニングを意識せずに思い切った投球ができる」(藪氏)

 後半戦の巨人は、しぶとく粘って終盤に逆転、勝ち越しという試合が目立っている。そうした終盤の粘りを許さないためにも実績のある能見をリリーフに回すというのは興味深いプランだ。あとがない阪神にとっては、これぐらい思い切った戦いが必要かもしれない。

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