吉井理人×石井貴が語る「投手コーチのお仕事」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

吉井理人×石井貴 対談(3)

吉井氏(写真左)、石井氏ともに一軍、二軍の投手コーチを経験した吉井氏(写真左)、石井氏ともに一軍、二軍の投手コーチを経験した

 チームを強化するにあたって欠かすことができないのが投手育成である。吉井理人氏、石井貴氏とも現役引退後は投手コーチに就き、選手の指導にあたっていた。経験者だからこそ知る投手育成の難しさとは?
(前回の記事はこちら)

―― お二人とも2007年に現役を引退され、翌年から吉井さんは日本ハムの一軍投手コーチに、石井さんは西武の二軍投手コーチに就任されました。今回は投手コーチの視点から見た育成についてお聞きしたいと思います。

吉井 投手コーチは、僕の中では絶対にやりたくない仕事のナンバーワンだったんですけどね(笑)。こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、現役時代、ピッチングコーチに対する印象があまり良くなかったもので......。そう思うよね(笑)。

石井 はい(苦笑)。

吉井 僕はいきなり一軍投手コーチからだったのですが、いざやるとなった時に、「あれ、何から始めればいいのかな」って。それで、現役時代にコーチからされて感謝したこと、嬉しかったことをノートに書き出すことにしたんです。

石井 それでどうなりましたか(笑)。

吉井 何も書くことがない(笑)。それではダメだと、逆に嫌だったことを書いてみたんです。そうしたら、どんどん出てきてしまって......(笑)。それで僕自身の中で結論が出ました。見ているだけでいいんだ、と。

石井 その通りですね(笑)。私は二軍コーチから始めたのですが、選手にはあれこれ言わないようにしていました。

吉井 気づいたことをひとつずつ言ってしまったら、選手が混乱してしまう。

石井 そうなんです。ただ、「今だ」というタイミングを見つけた時はすかさず声をかける。

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