160キロは天性の才能。大谷翔平の時代が到来した

  • 島村誠也●構成 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘、甲斐啓二郎●写真 photo by Koike Yoshihiro、Kai Keijiro

石井 贔屓目(ひいきめ)に見るわけじゃないですが、ピッチャーの質はパ・リーグの方が高いと思います。

吉井 西武のクローザーも頑張っているよね。

石井 高橋朋己ですね。

吉井 もっとバタバタするかなと思っていたら、結構落ち着いて投げているのでビックリしました。

石井 クローザーになった時、1カ月を無事に乗り切れるか心配でした。球種はほとんど真っすぐで、キレで勝負するタイプですから。どこまで持つかなと思っていたんですが、意外と頑張っていますよね(笑)。バッターからしてみれば、どうも高橋のフォームにタイミングが合わないらしいんですよ。踏み出した時にこけるんじゃないかと思ってしまうみたいで……。ただ、フォームのこともあるかもしれないですが、あれだけ思い切って腕を振られたらバッターは打ちづらいですよ。

吉井 しっかり腕を振るというのは、ピッチャーの基本ですから。あと西武には菊池雄星もいるけど、彼はどう?

石井 菊池はピッチングにロマンを感じすぎていますよね(笑)。厳しい言い方をすれば、注意深さが足りません。まだ、勢いだけで投げている感じがします。それも大事なことではあるのですが、試合には勝てるポイントというのがあって、そこをどう抑えるかで勝てるかどうかが決まってきます。そのポイントというのは7、8回が多いのですが、菊池はそこでも初回と同じようなピッチングをしてしまう。ゲームの流れが見えていないというか……。

吉井 それができればもっと安定したピッチングができるのにもったいない。ボール自体はまったく問題ないのにね。

石井 ここを抑えれば勝てる、そういう流れを感じることが大切なんですよね。まだ彼のピッチングを見ていると、全力で投げることにロマンを感じている。ロマンを感じるのはファンだけでいいんですよ(笑)。もうワンランク上の投手を目指してほしいですね。
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吉井理人(よしい・まさと):写真左
1965年4月20日、和歌山県出身。箕島高から84年にドラフト2位で近鉄に入団。近鉄時代は主にクローザーとして活躍し、88年に24セーブを挙げ最優秀救援投手に輝く。95年にヤクルトに移籍し、先発投手として3年連続2ケタをマーク。98年からメジャーに移籍し、メッツなど5年間メジャーでプレイし32勝を挙げた。その後、日本球界に復帰し、07年に現役を引退。日米通算成績は121勝129敗62セーブ、防御率4.14。08年から5年間、日本ハムの投手コーチを務めた。昨年からロッテ、ソフトバンク、オリックスの主催ゲーム全試合を完全生中継するFOX SPORTS「BASEBALL CENTER」のメインアナリストを務めている。

石井貴(いしい・たかし):写真右
1971年8月25日、神奈川県出身。藤嶺藤沢高から三菱重工横浜を経て、93年ドラフト1位で西武に入団。気合いあふれるピッチングで先発、中継ぎ、抑えとフル回転の活躍を見せる。04年にはシーズン1勝ながら、中日との日本シリーズで2勝を挙げMVPを獲得。07年に現役を引退。プロ14年間の通算成績は321試合に登板し、68勝58敗13セーブ、防御率3.78。現役引退後は08年から4年間、西武の二軍投手コーチを務め、12年から2年間は一軍の投手コーチを務めた。今年からFOX SPORTSをはじめ、解説者として活躍。

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