日本一のセットアッパーへ。佐藤達也が見る8回の風景 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

 何のために野球をやっているのか……じつは、ロッカーからブルペンに向かうとき、必ずふたりの子どもの写真を見るのが、佐藤のルーティンだ。2歳の男の子と、8カ月になった女の子の笑顔を見ると、よし、頑張ろうという気持ちになるのだという。そうやって自らを奮い立たせて、佐藤は8回のマウンドに向かう。

 佐藤が見る、8回の風景とは――。

「セットアッパーは、抑えに比べれば目立たないポジションだと思います。でも8回というのは、流れが相手にいかないよう、絶対にそこで食い止めなければならないイニングでもあります。ただし、だからといって1点もやれないという考え方にだけはならないよう、意識しています。ゼロに抑えようと考えちゃうと、自分のピッチングを窮屈にしてしまうんです。フォアボールを出したらダメだとか、ここで打たれたらいけないとか……そうではなくて、どんなすごいバッターであろうとしっかり腕を振って攻めていく。それが去年くらいから少しだけ(笑)、できているんじゃないかなと思っています」

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