プロが脱帽。オリックス金子千尋はココが凄い! (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 打席に入ると、観察されているようだという声もありました。

「やっぱり相手の裏をかきたいですからね。バッターが待っていないボールを投げた方が、打ち取れる確率は高くなりますよね。観察じゃないですけど、バットを振ったあとの打者の表情は見ています。投げたボールを待っていたのか、そうじゃないのか。それは見るようにしています」

―― 狙い通りに打ち取れた時はしてやったりですか。

「楽しいという感覚ではないですね。次回もそれで打ち取れるわけではないので」

―― 金子投手は完璧主義者ですか。

「完璧主義者かどうかはわからないですけど、ピッチャーとして高い理想はあります。これでいいと思ってしまったら、成長は止まってしまうので。ピッチングスタイルで言えば、ある程度の球速があって、どの変化球も投げることができて、コントロールもしっかりあって、長いイニングを投げられる。さらに、中継ぎや抑え、どの場所でも投げることができる。あとはケガをしないこと。打者を圧倒しようと思ったことはないです。僕的には打者から『何で打てないんだろう』って思われるピッチャーになりたいです」

 そして栗山はこんなことを言っていた。

「もしオリックスがここ5年ぐらいの間に一度でも優勝していたら、金子もダルビッシュや田中に負けないぐらい注目されていたはずです。その日の調子によれば、金子の方が上だと思う時もあります。やっぱり、優勝するチームで勝ち星を挙げるというのも、ピッチャーとしてのプラスアルファとして大事だと思うんです。それさえ経験すれば、誰も何も言えないピッチャーになりますよ」

 現在、ソフトバンクと優勝を争っているオリックス。金子は疲労を考慮され、登板を1回飛ばすこととなった。だが、18年ぶりの優勝のためには、金子の存在が不可欠なのは言うまでもない。はたして、本当の意味で金子は「真のエース」となれるのか。これからの金子のピッチングから目が離せない。

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