オリックス森脇野球、18年ぶりVへ視界良好 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 平野恵一のそんな言葉を聞いて、あるシーンを思い出した。それは交流戦期間中、神宮球場の室内練習場でのことだ。森脇監督はリリーフの比嘉を呼び止めると、ベンチに並んで腰を掛け、かなり長い時間話し込んでいた。その時のことを比嘉に聞くと、次のような答えが返ってきた。

「あの時は、僕の調子が良くなかった時だったと思います。2試合ぐらい連続で打たれた後だったと思うのですが、監督は『打たれても、何も恐れることはないんだぞ。でも、やることはちゃんとするんだぞ』と言ってくれました。監督は要所、要所で声を掛けて下さるんです。状態がいい時は、『調子いいなぁ。でも、これからも準備だけはしっかりするんだぞ』と。やっぱり、監督から声を掛けていただけると嬉しいですよね。“しっかりやらなきゃ”と自覚も出ますし、調子が悪い時は“気持ちを切り替えて頑張ろう”となります」

 練習を眺める森脇監督の姿を追っていると、選手によく声を掛けていることがわかる。それは簡単なあいさつではなく、しっかりと会話をしているのだ。そして、試合後も囲み取材でも選手を批判したり、ぼやいたりすることは一切ない。

 たとえば、7月13日の西武戦でサヨナラ負けを喫した試合後は、「先発したディクソンの出来から、今日の試合は一方的な展開になっても仕方なかったのに、(ディクソンの)あとを継いだ中山(慎也)がしのいでくれた。チーム力がついてきたのかな。タフな試合が続いているけど、タフに戦えるようになっている。ただし、いいゲームが目的ではなく、あくまでも勝つことが目的なので、今日の敗戦については私の力不足です」と自らの采配を責めた。

 坂口は「今年はチーム全員が同じ方向を向いている」と語った。2位ソフトバンクとのゲーム差はわずかに0.5ゲーム。18年ぶりのリーグ制覇へ、オリックスの熱い戦いはこれから佳境へと向かっていくのである。

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