交流戦Vの巨人はこのままセ界を独走してしまうのか? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 結果的に投手陣の頑張りが、巨人に優勝をもたらしたと言える。槙原氏は言う。

「野球はやっぱり投手力なんですよ。ジャイアンツも内海の故障などありましたが、他のチームの投手陣はもっと苦しかった。広島は交流戦前に勝ちパターンの継投を続けたことでしわ寄せがきたように思います。巨人も苦しかったと思いますが、量の部分で勝っていました。あとは、パ・リーグのチームが『巨人は強いだろう』という意識が強すぎたように思います。巨人打線に対して、もっと大胆にストライクを取りにいってもよかった。慎重になりすぎているような気がしました」

 交流戦では、小山、今村信貴、笠原将生、土田瑞紀らの若手投手が貴重な働きをみせた。この"量"は攻撃陣にも当てはまる。山﨑氏は次のように語る。

「個々のポテンシャルを見れば、巨人の選手は突出しています。交流戦では亀井善行や中井大介らが活躍しましたが、選手層の部分で他のチームを圧倒していました」

 槙原氏は亀井を先発起用してから、打線に活気が出てきたという。

「亀井が出てきたことで、セペダをスタメンから外し、代打で使えるようになった。セペダはどうみても本調子ではないのに、仕方なくスタメンで使っていた感じでしたから」

 亀井は5月31日のオリックス戦で交流戦初先発。この試合、巨人は金子千尋に9回まで無安打に封じられていたが、巨人投手陣もオリックス打線を無得点に抑え、試合は延長戦へ。そして12回表、亀井が起死回生の一発を放ち巨人が勝利した。

 そして山﨑氏は、この勝負強さこそ巨人が優勝した大きな要因だという。

「今の巨人打線はガンガン打つイメージはないですが、少ないチャンスを確実にものにする勝負強さを持っています。一方的に押されていても、ワンチャンスで決めた試合を何度か見ました。特に今年のチームは粘り強さがあります。大勝する試合は少ないですが、僅差のゲームは強い。交流戦でも1点差の試合は7勝1敗ですか。それに原監督の思い切った采配もうまくはまりましたね」(山﨑氏)

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