現在21連勝中。セ界最強の広島リリーフ陣はこうして完成した (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 一岡は巨人時代の昨年、ファームで0勝1敗15セーブ、防御率1.10を記録するなど、今季の飛躍を予感させる活躍を見せていた。一岡自身、今季の活躍の要因をどう見ているのだろうか。

「去年参加させていただいたプエルトリコでのウインターリーグの経験が生きていると思います。メジャーに昇格するような選手とも対戦して、野球観が広がりました。向こうの選手は、こっちが遠いと思っているコースでも手が伸びてバットに当ててくる。その中で、フォークやカットボールを磨き、手応えを感じることができたんです。それに向こうの球場は人工芝がめちゃくちゃ硬かったり、柔らかかったり……普段、自分がどれだけ素晴らしい環境で野球ができているのかということを再確認しました」

 そう語る一岡の声は穏やかで、どこにでもいそうな好青年のように映る。だが、ひとたびマウンドに上がると雰囲気は一変。躍動感あふれるピッチングで相手打線をねじ伏せていく。

「カープでの登板数が、ジャイアンツの一軍で投げた13試合を超えたので、自分としては移籍できて良かったと思っています。チームのみなさんも話しかけてきてくれますし、感謝しています。『すっかりチームに溶け込んでいるな』ってよく言われるんですよ(笑)」

 この磐石の広島リリーフ陣の不安を挙げるとすれば、中田と一岡の経験の少なさだろう。ふたりともシーズンを通して投げたことは一度もない。

「ブルペンでは、永川さんに球数を抑えるコツを教えてもらっていますが、本当に最後までもてばいいですね(笑)。でも、連投には自信があるんです。ジャイアンツのファームでは3連投、4連投を経験していますし……。僕は試合で投げて調整していくタイプですので、もっと投げたいですね。これからの目標は、とにかく最後まで投げて、カープの一軍で活躍できて良かったなと思える数字を残したいです」

 そして畝コーチは次のように語る。

「チームとして連投と、イニングまたぎはなるべくさせないようにしています。ブルペンでも球数を減らすために、肩はなるべく登板直前に作るようにしています」

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