現在21連勝中。セ界最強の広島リリーフ陣はこうして完成した (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 畝龍実(うね・たつみ)ピッチング兼分析コーチは、中田のピッチングについてこう話してくれた。

「それほど球速は出ていないけど、ボールにスピンがかかっているから打者の手元で伸びるんです。そして低めによく集まっている」

 試合前の練習で畝コーチは常にキャッチャーミットを持ち歩き、投手陣とキャッチボールをしたり、ピッチングを受けたりしている。

「フォームとボールをチェックしながら、一日に150球ぐらい受けているかな。気づいたことがあれば、すぐに言うようにしています。あとは選手たちが練習に乗っていけるように気を付けています。話しかけない方が集中できる選手には、なるべく声を掛けないようにしています」

 永川は2007年から3年連続で30セーブ以上を記録するなど、広島の守護神として活躍していたが、2012年は極度の不振で一軍登板のないままシーズンを終えた。そして昨シーズンの中盤から、セットアッパーとして起用され、再び本来の調子を取り戻しつつある。その実績と経験は広島のブルペンにとって欠かすことができない。

「ブルペンの好調は中田と一岡の頑張りが大きいですね。僕自身はまだ完全とは言えませんが、若い選手たちにいい刺激をもらいながら、何とか踏ん張っている状態です(笑)。彼らとはブルペンで話をすることが多いのですが、疲労がたまった時の体のケアの仕方などを伝えています。技術面を維持するには、まずは体のコンディションが大事なので」(永川)

 そして広島のリリーフ陣に厚みをもたらしたのが、巨人にFA移籍した大竹寛の人的補償で入団した一岡竜司だ。

「一岡の良さは、真っすぐに威力があり、落差の違う二種類のフォークを持っていることです。それにボールが先行しない制球力の良さも素晴らしいですね」(畝コーチ)

 ここまで18試合に登板して、防御率0.00だけでも特筆すべきことなのだが、その内容もまた圧巻なのである。許したヒットはわずか4本で、すべて単打。四球も4つしかない。また、得点圏に走者を背負ったのはたった一度だけという、抜群の安定感を見せている。そんな成績を収めているにもかかわらず、一岡は謙虚にこう語る。

「相手を抑えているっていう感覚はないんです。自責点はついていませんが、(4月10日の巨人戦で)失点はしているので。今はチームのためというより、本当に1試合1試合が精一杯なんです。悪くいえば、周りが見えていない。でも、逆にそれがいいのかな(笑)」

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