不敗の男・田中将大を支える「捕手とのコミュニケーション力」

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 前回のコラムでマー君の洞察力の高さについて触れましたが、こんなこともありました。私が3球続けてスライダーを要求すると、マー君は3球とも微妙な変化をつけて投げてきたんです。例えば、投げるタイミングを遅らせてみたり、意識的に腕を強く振ってみたり、曲がる大きさを変えてきたり……。打者目線に立って、どんな球種が来れば嫌か、どんなコースに投げられるのが嫌かを考えられる。こうした冷静さがマー君のピッチングを支えていると思いますし、サインに首を振らずに自ら“ひと工夫”してくれるマー君は、キャッチャーにとってありがたい存在になるのです。

 メジャーは日本と違い試合数も多く、移動距離も長い。とにかくタフさが求められる世界ですから、ケガにだけは気を付けてプレイしてほしいですね。先程も言いましたが、ここまでのマー君のピッチングを見ると、キャッチャーとの関係はすごく良好だと思います。この関係を築けているうちは、まだまだ勝ち続けるでしょうし、どんどんエースに近づいていると思います。「マー君、マー君」と連呼してきましたが、いつまでこんな世界的な投手を「マー君」と呼んでいいのかな……(笑)。

はじめから読む>田中将大(1)

連載>ブルペン捕手・中谷仁が見た「超一流エースたちの流儀」

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