新人王最右翼は? 解説者7人の「ルーキー診断」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

◎田口壮(元オリックス、カージナルスほか)

「広島の快進撃を支えているのは、大瀬良大地(5試合、3勝1敗、防御率1.89)と九里亜蓮(6試合、2勝1敗、防御率4.30)のふたりルーキーだと言っても過言ではありません。ルーキーふたりが開幕ローテーションに入ること自体すごいことですが、しっかり結果もともなっている。彼らがチームに勢いをもたらしたのは間違いないです。

 大瀬良の素晴らしいところは、何といってもストレートの速さです。多少ボールが甘くなっても、ストレートに力があるからファウルになる。細かいコントロールなど、まだまだ課題はありますが、1戦目よりも2戦目、2戦目よりも3戦目と、投げるたびに良くなっています。そのあたり、対応力の高さを感じますね。

 一方の九里は、キャンプで見た時から馬力のある投手だと思っていました。非常に重いボールを投げます。彼のピッチングを見ると、先発もできますし、リリーフとしても面白いタイプだと思います。九里のストレートを短いイニングで攻略するのは難しいと思います。広島投手陣は大竹寛が巨人に移籍し、心配されましたが、見事にふたりがその穴を埋めましたね」

◎山崎武司(元中日、オリックス、楽天)

「広島の大瀬良大地は評判通りのピッチングをしていますね。ボールに力があるし、空振りを取れる変化球もある。それに、しっかとストライクが取れる。当たり前だと思うかもしれませんが、実はこれがなかなか難しいんです。特にルーキーというのは、投げることに精一杯で、コントロールまで気が回らないピッチャーが意外と多い。でも、大瀬良はそういった部分でバタバタすることがありません。マウンド捌きは素晴らしいですね。これからピッチングにうまさも加わってくるだろうし、ますますいいピッチャーになると思います」

◎飯田哲也(元ヤクルトコーチ)

「楽天のルーキー・松井裕樹に期待していたのですが、あそこまでコントロールに苦しむとは思っていませんでした。いいところに投げようとしすぎて、彼の持ち味である大胆さが消えた気がします。その一方で、期待通りの活躍を見せているのが広島の大瀬良大地です。ボール自体も素晴らしいのですが、自分のピッチングができているところに彼の能力の高さを感じます。『打てるものなら打ってみろ』という、いい意味で相手を見下ろしながら投げている。自信を持って投げるということはすごく大事ですね。

 あと、個人的に期待しているのがヤクルトの西浦直亨(打率.156、1本塁打、5打点)です。DeNAとの開幕戦で満塁本塁打を放つなど、華々しいデビューを飾ったのですが、その後は打てずに苦しんでいます。ただ、彼はショートという難しいポジションを任され、守備はしっかりとこなしていました。もし、守れないということであればスタメン落ちも致し方ないと思うのですが、彼は守れる。バッティングというのはある程度経験を積めば打てるようになってきます。だから今は、バッティングに少々目をつぶってでも、スタメンで使ってほしいですね。彼は宮本慎也の後継者になれる器だと思っていますから」

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